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日  時 表  題 記   事 更新
2008/12/01 xxx

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平成24年度  水力学授業ノート3
2009/06/01  
 

 


日時
要項
@
6/12-1
水の物性・燃焼の3要素
A
6/12-2
国際単位系・重力単位系
B
6/19-1
大気圧、絶対圧・ゲージ圧
C
6/19-2
水の流れ・水圧 
D
6/26-1
ベルヌーイの式
ベルヌーイの式の活用1
E
6/26-2
ベルヌーイの式の活用2
F
7/05-1
ベルヌーイの式の活用3
摩擦損失・圧力損失1
G
7/05-2
摩擦損失・圧力損失2
反動力・水撃作用
H
7/05-3
吸水高さに及ぼす因子・まとめ


背景色がこの色は
授業を受けて、理解し覚えてもらいたいこと

背景色がこの色は
授業を受けて、理解し覚えてもらい、活用できるようになってもらいたいこと

上記の二つは最低限のことで、授業を受けて、より多く理解し覚えて、活用できるようになってください。
知識が豊富なことは人生を豊かにしてくれます。


2009/06/02 ベルヌーイの定理



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     ベルヌーイの定理

    ベルヌーイの定理とは、流体の有する機械的エネルギーの収支式である。
     p1

    ρ
     v12

    2 
    gz1
     p2

    ρ
     v22

    2 
    gz2  [J/kg]
     p:圧力[Pa]  ρ:密度[kg/m3]  v:流速[m/s]  
     z:基準面からの高低差[m]  g:重力加速度[9.8m/s2]
      流体1kgあたりの有するエネルギーを[J]であらわしている。

    ベルヌーイの式の
     第1項目は圧力エネルギーの項、
     第2項目は運動エネルギーの項、
     第3項目は位置エネルギーの項、

    と呼ばれる。

2009/06/03 圧力E.の項



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圧力エネルギーの項
圧力による仕事は
「する仕事」=(圧力)×(体積変化)=(圧力)×(断面積)×(動かした距離)
  =p×A×ℓ [kg/(m×s2)][m2][m]=[kg×m2/s2]=[J]
で表されます。
また、この体積内の水の質量は
 「水の質量」=m=体積×密度=A×ℓ×ρ [m2][m][kg/m3]=[kg]
で表されます。
ベルヌーイの式では単位質量あたり(水1kgあたり)のエネルギーと定義されていますので
圧力
エネルギー
の項
「する仕事」[J]

「水の質量」[kg]
p×A×ℓ 

A×ℓ×ρ

ρ 
=[J/kg]


教科書の図では 質量m=Aℓ[kg] となっていますが
正しくは  質量=ρAℓ[kg]です。

 p

ρ
 Pa

kg/m3
 kg/(m×s2

kg/m3
2

2
kg×m2

2×kg
/kg

 Pa=N/m2=kg×m/(s2×m2)=kg/(m×s2

 J=kg×m2/s2

2009/06/04 運動E.の項



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運動エネルギーの項
2

2 
(m/s)2

− 
 m2

2
kg×m2

2

kg 
J×

kg 
=[J/kg]

2009/06/05 位置E.の項



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位置エネルギーの項

gz
 m

 s2
×m=
 m2

 s2
kg×m2

2

kg 
J×

kg 
=[J/kg]

2009/06/06 水頭



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水頭 Water Head
エネルギーを長さの単位[m]で表す。
 p1

ρ
 v12

2 
 gz1
 p2

ρ
 v22

2 
 gz2  [J/kg]

 また、この式の両辺を重力加速度gで割ると
1

ρg
12

2g
+ z1 =
2

ρg
22

2g
+ z2  [m]
  エネルギーの項が、長さの単位[m]であらわされている。このような表現をWater_Headと呼び、日本では水頭と呼ぶ。

各々の記号は、p:圧力[Pa]  ρ:密度[kg/m3]  v:流速[m/s]  
  z:基準面からの高低差[m]  g:重力加速度[9.8m/s2]

2009/06/07 ベルヌーイの式



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ベルヌーイの式の応用1
大きな水槽があり、水槽の壁面に水面より10mの所に孔を開けた。この孔から飛び出す水の流速は毎秒何mであるか。求めよ。

このような問題を解くのにはベルヌーイの式が役立つ。
 p1

ρ
 v12

2 
gz1
 p2

ρ
 v22

2 
gz2  [J/kg]
水面を1の位置、水が飛び出している所を2の位置として、ベルヌーイの式を当てはめる。
大きな水槽なので、水面の降下速度 v1≒0とみなせる。
水面にかかる圧力も、孔から飛び出す水にかかる圧力も、どちらも大気圧であるから、p1=p2である。
これらを式に当てはめると。
 p1

ρ
 v12

2 
+ gz1 =
 p2

ρ
 v22

2 
+ gz2   [J/kg]
結果として、3項は消去できる。

 v22

2 
 = gz1 − gz2  [J/kg = m2/s2

となり、
 v2 = 2g(z1 − z2)  [m2/s2
となり、
 v2 = 

√2g(z1 − z2)  
  [m/s
ここで、(z1 − z2) は、水面と孔の高低差(水深)なので h[m]とすると
また、式を一般化するためにv2の添え字を取ると、
 v = 

√2gh 
  [m/s
この問題では水深h=10mなので、
 v = 

√2×9.8×10 
 = 

√196
=14[m/s
となり、水深10の孔から飛び出す水の速度は14m/sと求められる。  

 v = 

√2gh 
  [m/s
なお、この式は水深と飛び出し速度の関係式なので、水槽でなくてもダムに開けた水門からの飛び出し速度も計算できる。ただ、ここでは触れていないが流水抵抗のために実際の値は少し遅くなる。

大きな水槽があり、水槽の壁面に水面より10mの所に孔を開けた。この孔から飛び出す水の流速は毎秒何mであるか。求めよ。
 v = 

√2gh 
  [m/s
この問題では水深h=10mなので、
 v = 

√2×9.8×10 
 = 

√196
=14[m/s
となり、水深10の孔から飛び出す水の速度は14m/sと求められる。

2009/06/15 10:00 ベルヌーイの式



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ベルヌーイの式の応用2 ピトー管の原理
 p1

ρ
 v12

2 
 gz1
 p2

ρ
 v22

2 
 gz2  [J/kg]


ピトー管の側部の穴を1の位置、ピトー管の先端を2の位置として、ベルヌーイの式を当てはめる。
ピトー管の先端はある程度水が押し込むがマノメータのバランスが取れるともう流れ込まないので、 v2=0となる。
水平に設置すると、基準面からの高低差は同じになるので、z1=z2になる。

これらを式に当てはめると。
 p1

ρ
 v12

2 
gz1
 p2

ρ
 v22

2 
gz2  [J/kg]

の3項は消去できる。また、
 p=ρgh  [Pa]


 v12

2 
 p2

ρ
 p1

ρ
 ρgh2

ρ
 ρgh1

ρ
  [J/kg]

となり、 h1−h2 = hとすると
 v12 = 2g(h2−h1) = 2gh
  [J/kg=m2/s2
となり、
 v1 = 

√2gh 
  [m/s
となる。
また、式を一般化するためにv1の添え字を取ると
 v = 

√2gh 
  [m/s

また、

 h=102p  h:[m]  p:[MPa]

 v = 

√2g×102p 

√2000p
= 44.7√p  [m/s

 v =  44.7√pn v:飛び出し速度[m/s]  pn:ノズル圧[MPa]

この式は、ノズル圧pn をピトーゲージで測ると、筒先からの飛び出し速度が求まる。
 筒先口径2cmの筒先より放水している。今、ピトーゲージを用いて筒先圧力を測ったところ0.25MPaであった。ノズルからの飛び出し速度を求めよ。ただし、√0.25=0.5である。
 v = 44.7√pn=44.7√0.25=44.7×0.5=22.35

  答 飛び出し速度は 22.4m/s
  


2009/06/15 12:00 ベルヌーイの式の応用3



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ベルヌーイの式の応用3 ラインプロポ−ショナーの原理
 p1

ρ
 v12

2 
 gz1
 p2

ρ
 v22

2 
 gz2  [J/kg]



水平に設置すると、基準面からの高低差は同じになるので、z1=z2になる。

これを式に当てはめると。
 p1

ρ
 v12

2 
gz1
 p2

ρ
 v22

2 
gz2  [J/kg]

の2項は消去できる。

 p1

ρ
 v12

2 
 p2

ρ
 v22

2 
  [J/kg]

と、なる。


ラインプロポーショナの原理図 水流は@→Aの方向

ラインプロポ−ショナーを簡単に表すと上の図のようになり、@は普通の配管の場所で、管径を急に縮小した部分Aを設け通過後はまた元の管径に戻す。そして、管径の縮小部に枝管を設ける。

普通水の流れている管に孔を開けると水が飛び出してくる。このように縮小部を設けてその部分に孔をあけるとどうなるであろうか。

今 @の圧力を0.24[MPa]
  @の断面積 A1=0.0033[m2] Aの断面積 A2=0.00037[m2 
 管径を1/3にすると管断面積は1/9になる。

  @の流速 v1=2.5[m/s] 
 と、すると
 水流連続の式  Q =  A11 = A22 
 から、v2=22.5[m/s] と、なる。
 水流連続の式から流速は9倍になる

 また、水の密度ρ=1000[kg/m3]である。これらを式に代入すると

 240000

1000
 2.52

2 
 p2

1000
 22.52

2 
  [J/kg]


  240 + 3.125 =p2/1000 + 253.   

  p2/1000 = -9.9 = -10

 p2 = −10000 [Pa] = −10 [kPa] ≒ −1[mAq]

すなわち、孔から水が飛び出すどころか、水柱1mの力で吸い込む力があることになる。ラインプロポ−ショナーは、このような原理で、圧入ポンプを使わずに放水中の水に自らの流体の有するエネルギーを使って、薬液や色素水を吸い込むことが出来る装置である。

2009/06/16 放水量



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放水量

 筒先からの飛び出し速度が分り、筒先口径が分ると Q=Av から、放水量が求まる。
 Q = c×A×v = c×π×(dc/2)2×44.7√pn  

c:速度係数=0.99 dc:cm  v:[m/s] pn:[MPa]


 Q = 0.99×π×(dc/2)2×44.7√pn=0.2085dc2√pn

dc:ノズル口径[cm]  Q:放水量[m3/min]  pn:ノズル圧[MPa]


 Q = 0.2085dc2√pn

dc:ノズル口径[cm]  Q:放水量[m3/min]  pn:ノズル圧[MPa]


 筒先口径2cmの筒先より放水している。今、ピトーゲージを用いて筒先圧力を測ったところ0.25MPaであった。ノズルからの放水量[m3/min]を求めよ。
 Q = 0.2085dc2√pn = 0.2085×2×2×0.5 = 0.417

  答 放水量は 0.417 m3/min
  

2009/06/20 摩擦損失・圧力損失


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摩擦損失・圧力損失

太さ一様の長いパイプが水平に置かれている。その中を水が流れている。

この状態にベルヌーイの式を当てはめてみる
 p1

ρ
 v12

2 
gz1
 p2

ρ
 v22

2 
gz2  [J/kg]

流れの上流に1の位置、下流に2の位置を設定すると
太さ一様なパイプなら、A1 = A2 
水流連続の理から A11 = A22 から v1 = v2 
水平に置かれていることから、基準面からの高さは同じであるから
 z1 = z2 となる。
これらを上の式に当てはめると4項は消去される。圧力の項が残る。ρは水の密度なので、変化しない。
 p1

ρ
 v12

2 
 gz1
 p2

ρ
 v22

2 
 gz2  [J/kg]
結果として、p1 = p2 得られるが、実験をすると実際には p1 > p2 となる。
すなわち、1の位置から2の位置に水が動く間に、水の有するエネルギーが減少したことになる。それが圧力エネルギーの項の減少としてあらわれるので「圧力損失」と表現される。
実際には流体どおしの摩擦、また流体と管壁との摩擦のために圧力エネルギーが熱エネルギーに変化して、圧力減少として現れるのである。
さほど高低差の無い場合でも、長い距離の送水で中継送水しなければいけないのは摩擦損失によるエネルギー消耗に対するエネルギー補給である。



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