平成24年度  水力学授業ノート4
 
 

 


日時
要項
@
6/12-1
水の物性・燃焼の3要素
A
6/12-2
国際単位系・重力単位系
B
6/19-1
大気圧、絶対圧・ゲージ圧
C
6/19-2
水の流れ・水圧 
D
6/26-1
ベルヌーイの式
ベルヌーイの式の活用1
E
6/26-2
ベルヌーイの式の活用2
F
7/05-1
ベルヌーイの式の活用3
摩擦損失・圧力損失1
G
7/05-2
摩擦損失・圧力損失2
反動力・水撃作用
H
7/05-3
吸水高さに及ぼす因子・まとめ


背景色がこの色は
授業を受けて、理解し覚えてもらいたいこと

背景色がこの色は
授業を受けて、理解し覚えてもらい、活用できるようになってもらいたいこと

上記の二つは最低限のことで、授業を受けて、より多く理解し覚えて、活用できるようになってください。
知識が豊富なことは人生を豊かにしてくれます。

ベルヌーイの式の応用3



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ベルヌーイの式の応用3 ラインプロポ−ショナーの原理
 p1

ρ
 v12

2 
 gz1
 p2

ρ
 v22

2 
 gz2  [J/kg]



水平に設置すると、基準面からの高低差は同じになるので、z1=z2になる。

これを式に当てはめると。
 p1

ρ
 v12

2 
gz1
 p2

ρ
 v22

2 
gz2  [J/kg]

の2項は消去できる。

 p1

ρ
 v12

2 
 p2

ρ
 v22

2 
  [J/kg]

と、なる。


ラインプロポーショナの原理図 水流は@→Aの方向

ラインプロポ−ショナーを簡単に表すと上の図のようになり、@は普通の配管の場所で、管径を急に縮小した部分Aを設け通過後はまた元の管径に戻す。そして、管径の縮小部に枝管を設ける。

普通水の流れている管に孔を開けると水が飛び出してくる。このように縮小部を設けてその部分に孔をあけるとどうなるであろうか。

今 @の圧力を0.24[MPa]
  @の断面積 A1=0.0033[m2] Aの断面積 A2=0.00037[m2 
 管径を1/3にすると管断面積は1/9になる。

  @の流速 v1=2.5[m/s] 
 と、すると
 水流連続の式  Q =  A11 = A22 
 から、v2=22.5[m/s] と、なる。
 水流連続の式から流速は9倍になる

 また、水の密度ρ=1000[kg/m3]である。これらを式に代入すると

 240000

1000
 2.52

2 
 p2

1000
 22.52

2 
  [J/kg]


  240 + 3.125 =p2/1000 + 253.   

  p2/1000 = -9.9 = -10

 p2 = −10000 [Pa] = −10 [kPa] ≒ −1[mAq]

すなわち、孔から水が飛び出すどころか、水柱1mの力で吸い込む力があることになる。ラインプロポ−ショナーは、このような原理で、圧入ポンプを使わずに放水中の水に自らの流体の有するエネルギーを使って、薬液や色素水を吸い込むことが出来る装置である。
放水量



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放水量

 筒先からの飛び出し速度が分り、筒先口径が分ると Q=Av から、放水量が求まる。
 Q = c×A×v = c×π×(dc/2)2×44.7√pn  

c:速度係数=0.99 dc:cm  v:[m/s] pn:[MPa]


 Q = 0.99×π×(dc/2)2×44.7√pn=0.2085dc2√pn

dc:ノズル口径[cm]  Q:放水量[m3/min]  pn:ノズル圧[MPa]


 Q = 0.2085dc2√pn

dc:ノズル口径[cm]  Q:放水量[m3/min]  pn:ノズル圧[MPa]


 筒先口径2cmの筒先より放水している。今、ピトーゲージを用いて筒先圧力を測ったところ0.25MPaであった。ノズルからの放水量[m3/min]を求めよ。
 Q = 0.2085dc2√pn = 0.2085×2×2×0.5 = 0.417

  答 放水量は 0.417 m3/min
  
摩擦損失・圧力損失


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摩擦損失・圧力損失

太さ一様の長いパイプが水平に置かれている。その中を水が流れている。

この状態にベルヌーイの式を当てはめてみる
 p1

ρ
 v12

2 
gz1
 p2

ρ
 v22

2 
gz2  [J/kg]

流れの上流に1の位置、下流に2の位置を設定すると
太さ一様なパイプなら、A1 = A2 
水流連続の理から A11 = A22 から v1 = v2 
水平に置かれていることから、基準面からの高さは同じであるから
 z1 = z2 となる。
これらを上の式に当てはめると4項は消去される。圧力の項が残る。ρは水の密度なので、変化しない。
 p1

ρ
 v12

2 
 gz1
 p2

ρ
 v22

2 
 gz2  [J/kg]
結果として、p1 = p2 得られるが、実験をすると実際には p1 > p2 となる。
すなわち、1の位置から2の位置に水が動く間に、水の有するエネルギーが減少したことになる。それが圧力エネルギーの項の減少としてあらわれるので「圧力損失」と表現される。
実際には流体どおしの摩擦、また流体と管壁との摩擦のために圧力エネルギーが熱エネルギーに変化して、圧力減少として現れるのである。
さほど高低差の無い場合でも、長い距離の送水で中継送水しなければいけないのは摩擦損失によるエネルギー消耗に対するエネルギー補給である。
圧力損失・摩擦損失


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圧力損失・摩擦損失

ファニング氏によると摩擦損失は次のようにあらわされる。
 Fℓ = λ ×
 ℓ

 d 
×
 v2

2 
   [J/kg]

Fℓ:摩擦損失[J/kg]  ℓ:管長[m]  d:管内径[m]  v:流速[m/s]

λ(ラムダ):摩擦係数(損失係数)[−] [−]は、単位がないことを表す

いままで、摩擦損失はないものとして、ベルヌーイの式を取り扱ってきたが、実際には摩擦損失は無視できない。とくに消防においては大きな問題である。そこで、ベルヌーイの式に摩擦損失の補正項を入れて実際の状態に近づける。
 p1

ρ
 v12

2 
gz1
 p2

ρ
 v22

2 
gz2Fℓ  [J/kg]
ホースと圧力損失



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使用ホース、本数、放水量と圧力損失の関係1

 ファニングの式を消防の条件を当てはめる。
 Fℓ = λ ×
 ℓ

 d 
×
 v2

2 
   [J/kg]
使用ホースを管内径d=65mmゴム内張りホースを使用。
管長ℓ[m]は20mホースをn[本]繋ぐ。放水量をQ[m3/min]
c:流量補正係数=0.99とし
圧力損失をFℓ65:[MPa]で表す。
 Fℓ65 = 0.0713NQ2   [MPa]
N:使用ホースの本数[本]  Q:放水量[m3/min]
さらに、放水量Qとノズル圧MPaの関係式より
 Fℓ65 = 0.00310Ndc4n   [MPa]
dc:筒先口径[cm]  pn:ノズル圧[MPa]
ホースと圧力損失



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使用ホース、本数、放水量と圧力損失の関係2

 65mmの圧力損失(摩擦損失)は次式で得られる。
 Fℓ65 = 0.00310Ndc4n   [MPa]
 筒先口径2cm、筒先圧力0.50MPa、使用ホース本数を8本として、このホース内における圧力損失を求めよ。
 Fℓ65 = 0.00310Ndc4n
   = 0.00310×8×24×0.50 = 0.198=0.20 [MPa]
所要ポンプ圧



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所要ポンプ圧

 ポンプ車と放水位置に高低差がない場合
 所要ポンプ圧 = ホース内の損失圧 + ノズル圧 
 Pp       =     Fℓ     +     Np  [MPa] 


 ポンプ車と放水位置に高低差ある場合 その高低差を h[m]とすると
 所要ポンプ圧 = ホース内の損失圧 + ノズル圧 ± 背圧 
 Pp = Fℓ + Np ± 0.0098h    [MPa] 

背圧(高低差[m])を圧力に換算するには 
 p =0.0098h [MPa]
水撃作用


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水撃作用 Water Hammer

 自動車や電車が急ブレーキをかけたときに、進行方向に急につんのめりそうになるが、流れている水も同じことが言える。

 流れている水に対して、コックを閉めるとそのために生じた静止水面は流れの反対方向に進行し流れてくる水と衝突して大きな水圧が生じる。これが水撃作用であり、時にはホースを破裂させることがある。ホースを破裂させなくても、急な圧力上昇によりホースが異常に動き危険であり、とくにホースがカーブしている辺りでは大きく動き付近にいた場合なぎ倒される危険がある。

 ここでは、理論的説明は省略するが、水撃作用を避けるための注意点を述べる。


 水撃作用を避けるための注意点を述べよ。

  1.コック操作は緩やかにおこなう。

  2.ホースを自動車等で踏み潰されないように保護する。
反動力

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反動力

質量あるものに加速度が働くと力が生じる。とくに消防のようにホースの先にノズルをつけた場合、ノズルはテーパー管といって徐々に断面積が減少し、それに伴って流水速度が徐々に速くなる。速度に変化があると加速度が生じ、加速度が生じると力が生じる。この場合水の飛び出す反対方向に反動力が生じる。水の飛び出す勢いで生じると言われることがあるが、それは大きな要因ではなく、ノズル(筒先)内の速度変化が大きな要因である。
ここでは理論的説明は省略するが、反動力を求める式を紹介する。
 Fm ≒ 150 dc2Pn [N]

Fm:反動力[N] dc:ノズル口径[cm] Pn:ノズル圧[MPa]
で、あらわされる。
消火活動に支障なくひとりで保持できる反動力は180[N]、ふたりでのそれは270[N]といわれている。

180[N]の力は約18kgの物体により生じる重力に相当する。すなわち20リットルのポリタンに水を9割満たした分に相当する。


筒先口径2cmのノズルを使って放水している。ピトーゲージを用いて筒先圧力を測ったところ 0.25MPaあった。反動力を求め。 
 Fm ≒ 150 dc2Pn [N]

  =150×2.0×2.0×0.25=150

  答 150 [N]

また、ホースが曲がっているとホース内の水流の速さは変わらなくても、水の流れる向きが変わると水流の速度は刻々変化する(速度は方向のあるベクトルであるから、流れの向きが変わると特定方向の速度は変わる。その場合特定方向に対して加速度が生じ力が発生する。
諸因子

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吸い上げ可能高さに影響を及ぼす諸因子。

1.水温

2.気圧(高度)

3.水の密度

4.真空ポンプの性能

5.吸管内の水流摩擦損失


−−−−−


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平池燃焼は燃えるものと燃やすもの、それに発火点以上の温度が必要です。