平成24年度 水力学授業ノート1
1971.04.27 初版(手書きノート)
1988.06.16 2版(ワープロノート)
2009.06.03 3版(Web-page note)
2012.06.12 42年目の水力学

教 程

 
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日時
要項
@
6/12-1
水の物性・燃焼の3要素
A
6/12-2
国際単位系・重力単位系
B
6/19-1
大気圧、絶対圧・ゲージ圧
C
6/19-2
水の流れ・水圧 
D
6/26-1
ベルヌーイの式
ベルヌーイの式の活用1
E
6/26-2
ベルヌーイの式の活用2
F
7/05-1
ベルヌーイの式の活用3
摩擦損失・圧力損失1
G
7/05-2
摩擦損失・圧力損失2
反動力・水撃作用
H
7/05-3
吸水高さに及ぼす因子・まとめ


背景色がこの色は
授業を受けて、理解し覚えてもらいたいこと

背景色がこの色は
授業を受けて、理解し覚えてもらい、活用できるようになってもらいたいこと

上記の二つは最低限のことで、授業を受けて、より多く理解し覚えて、活用できるようになってください。
知識が豊富なことは人生を豊かにしてくれます。

水の物性

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 水は水素ガスが燃焼して生成する。すなわち、水は水素ガスの燃えカスである。また、高温に熱せられた大量の鉄等に注水すると、水は水素ガスと酸素ガスに分解し、爆発的に燃焼を起こす危険性がある。

 2H2 + 02 ⇔ 2H2O + (286×2)kJ

  2mol   1mol     2mol
   4g   32g     36g 
  
     水  H2O  分子量[18]
 
 水素ガスと酸素ガスとを正確に2対1に混合して燃焼させる酸水素ガストーチの炎は2800℃にも達する。たいていの金属は溶かすことが出来る。タングステンの融点は3380℃なので熔けない。

 
 また、水を金属ナトリウム(Na)や、金属カリウム(K)に注水すると激しく反応し水素ガスを発生して、その水素ガスが引火して爆発を起こすので危険である。

      2Na + 2H2O ⇔ 2Na(OH) + H2
 金属ナトリウム   水   水酸化ナトリウム  水素ガス

水の三態(大気圧=101.3kPaのもとで)  
氷(固体)
凝固⇔融解
水(液体)
凝縮⇔蒸発
水蒸気(気体)
無色透明


密度
0.9g/cm3
融点0℃
融解熱
334J/g
無色透明
比熱
4.18J/g℃
密度
1.0g/cm3
沸点100℃
蒸発熱
2260J/g    
無色透明


密度
0.60g/ℓ

 固体⇔気体 の相変化を 両方向とも昇華と呼ぶ 

 ドライアイスが溶けて液体になることなく、気体の炭酸ガスになるのも昇華である。また、ドライアイスの周りに空気中の水蒸気が固まり付くのは、水蒸気が昇華して氷になっているのである。
 冷蔵庫の製氷室の氷は、夏場は出来ると直ぐに使われるが、冬場は出来ても放置されることが多い。放置された氷は段々と痩せて角が取れて丸くなり小さくなる。これも昇華現象である。


 

 水は熱せられて沸点に達すると沸騰し水(お湯)から水蒸気になる。このとき大きな体積膨張を起こす。
 100℃の水(お湯)18g(1mol)の体積=18.8cm3
 100℃の水蒸気  18g(1mol)の体積
        =22.4ℓ×(373/273)÷(18.8/1000)=1630

 水の密度と粘度
 水の20℃における密度は ρ=998[kg/m3

 水の20℃における粘度は μ=0.00101[Pa・s=kg/(m・s)]
 消防の水力学における水の密度と粘度

 水の常温における密度は ρ=1000[kg/m3

 水の常温における粘度は μ=0.00100[Pa・s=kg/(m・s)]

水の物性



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水の物性
水の物性
温度密度粘度
g/cm3Pa・s
00.99984 1.7921×10-3
40.99997 -------
50.99995 1.5201×10-3
100.99970 1.3077×10-3
150.99910 1.1410×10-3
200.99820 1.0050×10-3
250.99704 0.8756×10-3
300.99564 0.8007×10-3
350.99402 0.7238×10-3
400.99221 0.6560×10-3
450.99021 0.5990×10-3
500.98804 0.5494×10-3
550.98570 0.5065×10-3
600.98321 0.4688×10-3
650.98056 0.4366×10-3
700.97778 0.4174×10-3
750.97485 0.3800×10-3
800.97180 0.3565×10-3
850.96862 0.3355×10-3
900.96531 0.3165×10-3
950.96189 0.2995×10-3
1000.2838×10-3
燃焼の3要素と水のかかわり


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 燃焼の3要素と水のかかわり
1) 可燃物がある   
水に濡れると、燃えにくくなる。
2) 酸化剤(酸素、空気)がある
水蒸気は空気を遮断する
3) 発火点以上の温度がある    
水が蒸発するのに多量の熱を奪い
温度を下げる

 水が消火に使用される理由
1) 燃焼の3要素に対して、それを妨げるのに有効に働く
2) 常温において液体である。(ポンプとホースによる輸送が可能)
3) 比較的軽い物質で、安価に多量に得やすい
国際単位系



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 国際単位系 

 世界がグローバル化している現代において、全てが世界的に共通になると便利であり、その要求が高まりつつある。単位においては一足先に共通化の提案がなされ、それが国際単位系である。
 次に来るのが言語であろう。ただ、一つの言語で統一されることはないだろう。各自が自国語とたとえば英語を習得しバイリンガルになり、英語が共通言語となりつつあることは否めない。だから、新人類(21世紀に生きる人)は英語が必須言語と言える。
 その次に共通化が求められるのが通貨であろう。現にEU(ヨーロッパ連合)においては、ユーロという共通通貨単位を使っている。
 今後いろいろな面での共通化は、文化的、工業的、経済的に共通になるためには避けて通れない課題だと思われる。
 グローバル 【global】 (形動) 国境を越えて,地球全体にかかわるさま。

 国際単位系(SI)は、それまで広く使用されていたMKS単位系(長さの単位にメートル(m)、質量の単位にキログラム(kg)、時間の単位に秒(s)を用い、この3つの単位の組み合わせでいろいろな量の単位を表現していたもの)を拡張したもので、メートル条約に基づいて1960年に国際度量衡総会 (CGPM) で使用が採択された。

 現在ほとんどの国で合法的に使用でき、多くの国で使用することが義務づけられている。アメリカなど一部の国ではそれまで使用していた単位系の単位を使用することも認められている。

 日本では、1991年に日本工業規格 (JIS) が完全に国際単位系準拠となり、JIS Z 8203(国際単位系(SI)及びその使い方)に規定されている。

 なお、国際単位系はメートル法が発展したものであるが、メートル法系の単位系の亜流として「工学単位系(重力単位系)」「CGS単位系」などがあり、これらを区別する必要がある。

国際単位系(こくさいたんいけい、仏: Le Système International d'Unités, SI、英: The International System of Units、略称SI)は、十進法を原則とした最も普遍的な単位系である。略称SIはフランス語からきているが、これはメートル法の歴史的理由による。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
国際単位系



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国際単位系一覧

消防にとって特に重要な単位量

単位量国際単位名称記号備考その他の単位系
長さメートルm基本単位μ(ミクロン)
質量キログラムkg基本単位ct(カラット)
時間秒(セコンド)s基本単位 
電流アンペアA基本単位 
熱力学温度ケルビンK基本単位 
物質量モルmol基本単位 
光度カンデラcd基本単位 
平面角ラジアンrad補助単位 
立方角ステラジアンsr補助単位 
 以下は固有名称を持つ 組立単位基本単位の組み合わせで
周波数ヘルツHz1/s表せる 
ニュートンNm・kg /s2kgf(重量キログラム)
圧力・応力パスカルPakg/m・s2kgf/m2・bar(バール)
仕事・熱量ジュールJm2・kg /s2cal(カロリ)
仕事率・電力ワットWJ/sVA(ボルトアンペア)
電荷・電気量クーロンCA・s 
電位・電圧ボルトVW/A 
静電容量ファラッドFC/V 
電気抵抗オームΩV/A 
コンダクタンスジーメンスSA/V 
磁束ウェーバWbV・s 
磁束密度テスラTWb/m2G(ガウス)
インダクタンスヘンリHWb/A 
セルシウス温度セルシウス度(T-273.15)K 
光束ルーメンlmcd・sr 
照度ルクスlxlm/m2 
放射能ベクレルBqs-1Ci(キューリー)
吸収線量グレイGyJ/kgrad(ラド)
線量当量シーベルトSvJ/kg 
面積平方メートル m2a(アール)
体積立方メートル m3T(トン)
速度メートル毎秒 m/skt(ノット)
加速度メートル毎秒毎秒 m/s2Gal(ガル)
濃度モル毎立方メートル mol/m3pH(ペーハー)

出典 http://www.utsumi.com/telecom/si_unit.htm 
質量を修正し備考の単位表記を一部変更し、その他の単位系欄の表記を一部省略しています

用途を限定する国際単位系以外の単位・計量法で規定されているもの。

◎ 熱量
カロリー、キロカロリー、メガカロリー、ギガカロリー(栄養、代謝)

と、言うことで 栄養・食品関係分野にはcalの使用が認められている。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
国際単位系接頭辞



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国際単位系接頭辞

倍数接頭語記号

1024ヨタY

1021ゼタZ

1018エクサE

1015ペタP

1012テラT

109ギガG

106メガM

103キロk

102ヘクトh

101デカda


倍数接頭語記号

10-1デシd

10-2センチc

10-3ミリm

10-6マイクロμ

10-9ナノn

10-12ピコp

10-15フェムトf

10-18アトa

10-21ゼプトz

10-24ヨクトy


その他の単位系

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 重力単位系(じゅうりょくたんいけい)とは、基本単位として質量の単位の代わりに、物体に地球の引力が作用して発生する重量(力)の単位を含む単位系である。

 国際単位系 (SI) においては、力の単位は質量の単位(キログラム (kg) )と長さの単位(メートル (m))をかけたものを時間の単位(秒 (s))の 2 乗で割ったもの(SI ならば kg·m/s2)として定義される。それに対し、重力単位系では、その地域における重力加速度または標準重力加速度 (9.80665 m/s2) に基づく重力を力の単位とする。しかし、人間が生活する範囲においては重力加速度の違いはほぼ一定とみなせる。

 各単位系における、物理量の次元表示記号と代表単位
  \物理量
単位系\
質量
重量
長さ
時間
備考
絶対単位系
M(kg、g)
  
L(m、cm)
T(s)
全宇宙で成立  
重力単位系
 
F(Kg、G)  
L(m、cm)
T(sec)
人間の生活圏 
工学単位系
M(kg、g)
F(Kg、G)  
L(m、cm)
T(sec)
人間の生活圏 
 国際単位系で、時間の単位(秒)は(s)で表す

 質量1kgの物体に働く重力加速度g=9.8(kg・m/Kg・s2)により生じる重力を1Kgと定め、重量と呼ぶ。(質量と重量の単位記号kgとKgの違いに注意せよ)

 体重計で量る体重は、重量である。しかし重量と質量の数値を等しく設定されているので、今までは重量と質量を区別することなく生活できたが、正しくは区別しなければならない。
 重量単位系の1Kgの力を絶対単位系で表すと、9.8N(ニュートン)となる。
 但し、体重60Kgの人の質量は60kgであり、力として換算すると588Nとなる。

絶対単位系と重力単位系の間には
  mg=Fgc   m:質量(g)  g=9.8(m/s2
 F:重量(Kg) gc=9.8(kg・m/Kg・s2

の関係があり、gc=9.8(kg・m/Kg・s2)を重力換算係数と言う